50代になって、最近ちょっと感じていることがあります。
それは、以前よりも「選ぶ感覚」が冴えてきたように思うこと。
ジュエリーの仕事を約30年続けてきましたが、これまでたくさんのものを見て、選んで、時には失敗もして。
そんな経験が積み重なって、最近は「これ」と思えるものを迷いなく選べることが増えてきました。
若い頃よりも、自分の感覚に自信が持てるようになったのかもしれません。
主人の時計選びで感じたこと
先日、主人の腕時計を買いに行ったときのこと。
同じデザインで色違いの2本があり、主人はどちらにしようかと、とても悩んでいました。
ひとつは濃紺の文字盤にシルバーの針。もうひとつはグレーの文字盤にピンクゴールドカラーの針。
濃紺ももちろん似合うのです。
端正で、間違いのない組み合わせ。
でも、私の中では圧倒的にグレーの方でした。
なぜなら時計は時刻を確認するための道具であると同時に、装飾品でもあるからです。
最近はファッションもシンプルな傾向にあります。
だからこそ、時計やジュエリーのような面積の小さな装飾品まで無難にまとめすぎるより、どこかに少しスパイスが効いている方が素敵だと思うのです。
グレーの文字盤にピンクゴールドカラーの針という組み合わせには、ちょっとした洒落っ気があります。
決して派手ではないけれど、ほんの少し個性が感じられる。
私には、そこがとても魅力的に映りました。
あまりに悩む主人に、最後は
「この道30年のジュエリーコーディネーターを信じなさいよ(笑)」と後押ししました。
時計なのにジュエリーコーディネーターを持ち出してしまいましたが(笑)。
「好き」と「似合う」は、少し違う
もちろん、自分の好みはとても大切です。
どんなに似合うと言われても、自分自身が気に入らなければ、身につける楽しさは半減してしまいます。
ただ、自分の好きなものと、客観的に見て似合うものが、必ずしも一致するとは限りません。
自分では選ばなかった色やデザインを、誰かに「あなたにはこちらが似合うと思う」とすすめられて、試してみると意外にしっくりくる。
そんな経験はありませんか?
自分のことは自分が一番よく知っているようで、案外そうでもないものです。
時には第三者の視点を取り入れてみることで、これまで気づかなかった魅力を発見できることもあります。
ジュエリー選びでも大切にしていること
これは、私がお客様にジュエリーをご提案するときにも大切にしていることです。
お好みやご希望を伺うことはもちろんです。
しかし、実際に身につけていただくと、ご自身では選ばなかったデザインが驚くほどお似合いになることがあります。
そんなときは、私からも「こちらもお似合いになると思いますよ」とご提案します。
ジュエリーは単体で美しいだけではなく、身につける方の雰囲気やファッションとのバランスも大切です。
例えば、シンプルなお洋服に少し存在感のあるピアスを合わせてみる。
あるいは、ベーシックなデザインでも地金の色や宝石の色合いに少し遊びを取り入れてみる。
ほんの小さな違いで、全体の印象がぐっと魅力的になることがあります。
もちろん、私のご提案が唯一の正解というわけではありません。
お客様ご自身の「好き」を大切にしながら、そこにもうひとつの視点を加える。
それも、ジュエリーコーディネーターとしての私の役割だと思っています。
年齢を重ねるのも、悪くない
50代になって、自分の中に積み重なってきた経験が、こうして少しずつ形になっていることを嬉しく感じます。
若い頃には迷っていたことも、今は「こちらがいい」と自然に思える。
一方で、自分の好みだけにとらわれて、新しいものを受け入れられなくなるのはもったいないとも思います。
自分の感覚を信じながら、時には誰かの「あなたにはこれが似合う」という言葉にも耳を傾けてみる。
そんな柔軟さも、これから大切にしていきたいですね。
年齢を重ねることで、選ぶ楽しみもまた増えていく。
そう考えると、これからの50代もなかなか楽しみですよね。
